森林認証とは

(1)森林認証とは

適正に管理された森林から生産した木材などに認証マークを付すことによって、森林の保護を図ろうとする制度です。独立した第三者機関が、一定の基準((3)参照)に照らし合わせて評価・認証するもので、世界的な森林減少・劣化の問題とグリーンコンシューマリズムの高まりを背景として生まれました。森林認証は、規制をかけたり、課税するのではなく、消費者の選択的な購買を通じて、持続可能な森林経営を支援しようとするもの。

*グリーンコンシュマーリズム
地球環境を破壊しない商品、環境保全に貢献している企業製品を購入しようとする運動

(2)SGEC森林認証

SGEC(緑の循環認証会議)は我が国にふさわしい森林認証制度を創設するため 森林・林業のみならず経済・産業、消費、自然環境など広範な方面の方々 が参集して 2003 年に設立された組織です。SGEC 本部は SGEC の規程、 規則を制定するとともにモントリオール・プロセスに準拠したわが国の 森林経営の現状に即した SGEC 森林認証基準を制定しています。2016 年 6 月には 国際森林認証であるPEFC との相互承認が実現しました。

SGEC森林認証には、① 生物の多様性の保全と持続可能な森林経営を行っている森林管理 を認証するFM認証と②認証森林から 産出される認証生産物の加工・流通過程を管理する CoC の認証があります。

SGEC ロゴマークの付いた認証生産物が市場にならぶことで消費者が認 証生産物を選択して購入することが可能となります。

(3)森林認証制度の評価基準 「持続可能な森林経営」のための7基準

基準1 生物多様性の保全
基準2 森林生態系の生産力の維持
基準3 森林生態系の健全性と活力の維持
基準4 土壌及び水資源の保全と維持
基準5 地球的炭素循環への森林の寄与の維持
基準6 社会のニーズに対応した長期的、多面的社会経済便益の維持及び増進
基準7 森林保全と持続可能な経営のための法的、制度的、経済的枠組

2 森林認証の取得と普及状況

(1)森林認証取得への経緯

森林認証材としての群馬県産材への引き合いがあったものの群馬県内には一部認証森林はあるもののニーズにあう木材を供給できない状態でありました(H28年12月時点)。全国的にみると森林認証材の供給体制がないのは、本県を含む数県であり、それらの県でも認証取得の必要性を認識し対応を急ぐようでありました。群馬県でもなんとか系統で森林認証取得し全国の流れに取り残されない取組が必要であると認識し、この問題意識を共有しうる森林組合(利根沼田森林組合)へ森林経営認証取得を提案し、同時に県森連においてもCOC認証を取得し、認証材需要に対応していくこととし、平成29年9月に認証を取得しました。

(2)森林認証取得後の状況

①認証材の出荷
●木材商社からの受注があり、認証対象森林からスギ中目3、4m材 20㎥を出荷したました。(H29.11.16)
●COC認証工場等を経て最終製品となり東京五輪関連施設に活用されました。

 

②年次定期審査
認証取得後も毎年、管理・実践状況について定期審査を受ける必要があります。書類管理状況のほか現場施業状況や定点モニタリングの実施状況等も現地確認に対応しました。

 

③内部研修
現場職員も含めた研修会でSGEC森林認証の意義や取組状況について学んでいます。

④地元公共建築物に活用提案
令和元年度では、公共建築物新設工事(環境省 谷川岳ビジターセンター)への地元木材(カラマツ、スギ)の納入依頼が設計受注会社がありましたので、で、SGEC認証材での供給を提案しました。
部材納入する集成材工場もCOC認証があるので、地元利根沼田産認証材の活用事例として、恰好のPR物件として期待されています。

(3)SGEC森林認証で求めるもの(利根沼田森林組合 森林管理計画への記載事項)

①森林と管理体制

●該当地域の森林資源概況
●森林認証対象森林一覧と資源状況
管理森林一覧表  森林名、所在地、面積
資源状況ー各森林ごとの樹種別面積、齢級別面積
●地域森林計画の概要
●森林経営計画の策定状況(対象は全て森林経営計画地)
機能類型別面積一覧表
●認証対象森林の法令制定の状況
保安林種別の指定状況や自然公園の有無等
●管内路網整備状況
● 森林施業の実施状況
過去5年の施業種別の計画量と実績量
● 森林管理体制
・組合の役職員、現場技術職員の体制
・生産木材の販売流通状況

②経営方針と計画

●森林経営管理についての基本理念
● 管理方針
木材生産と資源の循環利用、水土保全、環境保全、生物多様性保全、
● 施業方針
育成単層林、育成複層林、育成複層林、天然生林、
● 施業別実施方針
主採、間伐、保育、路網整備、更新
● 生物多様性に配慮した施業方針
● 委託先との関係
● 病虫害防除、鳥獣被害対策
●モニタリングと情報公開
●化学物質取扱いにかかる環境配慮
オイル燃料および林業薬剤使用の管理指針
●法令関係
森林法、労働基準法(労働者保護)
●地域社会との関係

3 県森連としての方針 「SGEC普及拡大事業」の実施

●目的
森林認証の普及が全国最低クラスである本県において、先駆的で唯一の取得事例である利根沼田森林組合(FM認証)と群馬県森連(COC認証)で連携して積極的に森林認証の普及を図りその認知度向上を目指します。また認証の意義を理解しこれに続く森林組合の認証取得を支援し、県内における森林認証と認証材の浸透を図り、拡大する認証材マーケットで他県に置き去りにされることなく、群馬県産認証材を供給できる体制を構築していきます。

 

(1)SGEC製品開発と普及PR
認証森林から産出されるスギ、ヒノキ、カラマツ、広葉樹等多様な樹種を活用したSGEC材製品を開発する。学習机天板、ベンチ、遊具、木育玩具、フローリング、木製塀、杭、合板、チップ・・・
開発したSGEC製品は本会加工事業の受注案件への採用や、木育や自然環境教育活動への提供、各種PRイベントに出展する等して普及浸透を図る。
他県における森林認証普及にかかる先進事例を研究し、群馬県版としての導入を試みる。
(2)SGEC FM認証取得支援
会員森林組合等における森林認証取得に向けたコンサルタントを実施する。県庁へも森林認証普及のための提案を継続する。